指・手首・肘の関節の痛み
指・手首・肘の痛みについて
指・手首・肘の痛みには、関節の炎症・神経の圧迫・筋肉や腱の炎症・骨折・変形性関節症など、さまざまな原因が考えられます。放置すると進行し、日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な診断と治療が重要です。また、手のしびれは神経の分布によって診断が変わるため、適切な評価が必要です。
主な疾患
① 骨折・外傷(急性疾患)
- 肘関節周囲の骨折(上腕骨顆上骨折・橈骨頭骨折など)
転倒時に肘を強打すると発生しやすい骨折です。適切な治療を行わないと、肘の可動域制限が残る可能性があります。 - 手首の骨折(橈骨遠位端骨折など)
転倒時に手をついた際に起こりやすい骨折です。特に高齢者では骨粗鬆症が関与し、骨折のリスクが高まります。適切な治療をしないと、手首の変形や可動域の制限が残ることがあります。
② 腱や靭帯の疾患(炎症・使いすぎによる障害)
- テニス肘(上腕骨外顆炎)
テニスなどの繰り返し動作によって、肘の外側から前腕の筋肉に亀裂や炎症が生じ、痛みが起こります。 - ゴルフ肘(上腕骨内顆炎)
ゴルフなどの繰り返し動作によって、肘の内側から前腕の筋肉に炎症が生じ、痛みが発生します。 - ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
親指の使いすぎが原因で、手首の親指側にある腱が炎症を起こし、親指を動かすと手首に痛みが出る疾患です。妊婦さんや子育てをしているお母さん、パソコン・スマートフォンの使用が多い方に発症しやすい傾向があります。 - ばね指(弾発指)
指の腱鞘(けんしょう)が炎症を起こし、指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなる病気です。指を伸ばそうとすると引っかかりや痛みが生じ、悪化すると指が動かなくなることもあります。
③ 変形性関節症(慢性疾患)
- 変形性肘関節症
肘関節の軟骨がすり減り、関節が変形する病気です。肘を酷使する職業やスポーツで発症しやすく、動かすと痛みが出たり、関節が引っかかる感覚が生じることがあります。 - 母指CM関節症(親指の付け根の変形性関節症)
親指の付け根(CM関節)が変形して痛みが出る疾患です。瓶のふたを開ける動作やつまみ動作で痛みが出やすく、進行すると関節が腫れて可動域が制限されることがあります。 - へバーデン結節
指の第一関節(DIP関節)が変形・腫れ・痛みを伴う疾患です。加齢や遺伝的要因が関与し、進行すると関節が硬くなり、指の動きが悪くなります。
④ 関節リウマチ(全身性疾患)
- 関節リウマチ
手足の指や手首に腫れや痛み、朝のこわばりが現れます。進行すると関節の変形を引き起こすことがあり、微熱や倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。
⑤ 手のしびれ(神経の圧迫による障害)
手のしびれは、神経の圧迫部位によって原因が異なります。
- 親指~薬指の親指側がしびれる場合
→ 正中神経が圧迫される手根管症候群の可能性があります。 - 薬指の小指側~小指にかけてしびれる場合
→ 尺骨神経が圧迫される肘部管症候群の可能性があります。 - その他の神経圧迫の可能性
→ 頸椎や胸郭出口など、手から首にかけての神経の圧迫も考慮する必要があります。
対処法
- 痛みがある場合は無理をせず、患部を休ませる
- 装具やサポーターを使用して関節の負担を軽減する
- 消炎鎮痛薬(塗り薬・飲み薬)や局所注射(ステロイドなど)を活用する
- 症状が進行した場合は、手術(関節固定・腱鞘切開など)を検討する
症状が続く場合の受診
次のような症状がある場合は、早めに整形外科の診察を受けることをおすすめします。
- 手・肘・腕の痛みやしびれが続く場合
- 関節の腫れや変形がある場合(関節リウマチや変形性関節症の可能性)
- 痛みが強く、動かしにくい場合(神経や筋・腱の障害の可能性)
- 指の動きに違和感があり、ばね指のように引っかかる感覚がある場合
- 手首を動かすと強い痛みがあり、力が入らない場合(骨折の可能性)
- 日常生活(つまむ・握る・押さえる動作)に支障が出てきた場合
まとめ
指・手首・肘の痛みは、放置すると慢性化し、治療が長期化することがあります。違和感を感じたら、当クリニックへお気軽にご相談ください。